日経新聞まとめ【2021年7月11日㈯】

ニュースまとめ

空飛ぶ車で旅客輸送 将来165兆円の市場規模に?

JALは25年度に空飛ぶクルマを使った旅客輸送サービスを始める。
道路渋滞緩和や過疎地の交通対策を狙う
  • JALが使うのはeVTOLと呼ぶ2人乗りのドローン型。同社が20年に出資したドイツのボロコプター社が開発。航続距離は35km, 最高時速は110km。
  • 中距離圏内におけるタクシーのようなサービスを構想。 空飛ぶクルマは滑走路が不要で機動性が高い。交通渋滞解消の他、過疎地への移動問題の解消へ期待。
  • 一方、安全基準、操縦ライセンス、運行の決まり等のルール作りが課題で、政府は25年までに航空法に基づく制度の見直し内容を詰める。

OPECプラスに溝 脱石油戦略で摩擦

OPECに加盟し親密なサウジアラビアとUAEが生産調整で対立し、原油市場を揺さぶっている
  • WTI原油先物は一時76.98ドル/バレルまで上昇したが、5日のOPECプラスの閣僚会議の決裂を受け73ドルに反落。UAEが22年までの減産調整を拒否。
  • UEAの財政収支を均衡させる原油価格は68.2ドル。サウジの77.9ドルに対して多少余裕があるため、石油資産の早期現金化を望んでいると見られる。
  • 両国は経済面で競争しつつ、イスラム原理主義勢力の拡大阻止など利害一致している面もあり、複雑な関係にある。両国の最終的な調整内容に注目が集まる。

中国、預金準備率下げ 15日から0.5% 中小資金繰り支援

中国人民銀行は9日、預金準備率を0.5%下げることを発表。
コスト増に苦しむ中小零細向けの貸出し増を狙う
  • 「預金準備率」は中国人民銀行が市中銀行から強制的に預かるお金の比率。準備率を下げると市中銀行が人民銀行に預けるお金が減り、貸出が増える。今回の引下げで約17兆円の長期資金が市場に放出される。
  • 中国の中小企業は原油等の輸入資源の高騰によるコスト上昇に直面。一方、消費回復の遅れなどでCPIは伸び悩む。収益圧迫により資金繰りが悪化している。
  • 7月中下旬の納税が集中する時期での資金繰りひっ迫を見据えて、融資を促進する狙い。

がん創薬向け検査キット エーザイが開発

エーザイが患者の血液からがんに関連する遺伝子変異を調べる研究キットを開発。
早ければ22年度から導入。 
  • 患者の血中にはがん細胞から出たDNAが存在する。検査キットでは血液10mlからDNAを採取し、試薬を入れることで指定した部分だけを残し、遺伝子の配列を読み取るシーケンサーで解析する。がんに関連する500程度の遺伝子について変異があるか調べられる。
  • 早ければ22年度に自社で実施するがん治療薬の知見で参加者を選ぶ際などに使う。将来は収集データを他の医療データと共にAIで解析し、がんと遺伝子変異の関係を分析。新薬開発等に繋げる。

新規公開、14年ぶり高水準 デジタル化追い風発

2021年1-6月に53社の国内企業が上場。07年ぶりの多さ。
デジタル化や世界的なカネ余りが後押しか。 
  • 07年の同期間には73社が上場。不動産関連が多かった。21年はクラウドや自動化などのテーマが多く、情報・通信業がIPO全体に対して40%を占める。
  • コロナ禍でのデジタル化による需要増や世界的なカネ余りで資金調達環境が軟化したことに起因
  • PEやVCからの国内スタートアップに対する投資額は21年1-3月に約750億円と、5年倍の2倍強に増えている。また、海外市場での資金調達も過去30年で最高ペースとなっている。

ロジウム、急騰一転4割安 需要の9割が車生産

ロジウムの国際価格が最高値を付けた3月から4割減。
世界的な半導体不足による自動車生産減に起因。 
  • 排ガス中のNOxの浄化に使われるロジウムのスポット価格は1万7000ドル/トロイオンス台で推移。史上最高値の3万ドル弱を付けた3月から40%下落。
  • 自動車生産の急回復で触媒需要が盛上がり高騰したが、足元の深刻な半導体不足の影響で車生産にブレーキ。自動車メーカーのロジウム調達が鈍化した。
  • ロジウムは生産量が少なく価格の変動幅が大きい。下落後の価格でも需要超過と品薄感が残り、1年前の約2倍の水準。当面、自動車メーカーの重荷となる。

ドイツ車5社、排ガス巡りカルテル

EUが排ガスの浄化技術を巡るカルテルを認め、
VWやBMWなどの独自動車大手に巨額の制裁金を命じた。 
  • EUの欧州委員会によるとVW、VW参加のポルシェとアウディ、BMW、ダイムラーの5社は09年以降、定期的に会合し、排ガス浄化の高い技術の利用を控えるよう合わせたという。合計8億7千ユーロの制裁金が課された。
  • EUの環境規制は世界で最も厳しいと言われ、メーカー側は対応に苦しむ。25年には21年比で排ガスを15%減、30年以降は一段と厳しくなる見通し。ガソリン車の燃費改善だけでの規制対応は限界の状況。

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